2006 Fiscal Year Annual Research Report
自然選択がヒトゲノム多様性および連鎖不平衡構造に与える影響の解析
Project/Area Number |
18710160
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大橋 順 東京大学, 大学院医学系研究科, 助手 (80301141)
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Keywords | 自然選択 / 連鎖不平衡 / ヒトゲノム多様性 / コンピュータシミュレーション / HapMap集団 |
Research Abstract |
(1)GYPC欠失変異およびその周辺領域のSNPおよびマイクロサテライトマーカーの解析 メラネシア系集団としてバロパ島民、ニューギニア南部ギデラ族およびソロモン諸島民、ポリネシア系集団としてトンガ人において、GYPC遺伝子欠失変異の解析を行った(各集団100個体程度)。スクリーニングの結果、バロパ島民においてのみGYPC欠失変異が観察された。欠失変異周辺に存在する5個のマイクロサテライトマーカーを解析し、うち3個が多型的であることを確認した。現在、GYPC欠失変異周辺に存在する75SNPマーカーを解析している。 (2)6.7-kbのLILRA3欠失変異の解析 申請者が保有するHapMapサンプル(アフリカ系集団、ヨーロッパ系集団、アジア系集団)210検体分に対し、PCRにより6.7-kbのLILRA3欠失変異のタイピングを行った。また、HapMapデータ中の既知のSNP遺伝子型情報と合わせ、6.7-kbのLILRA3欠失変異の連鎖不平衡マップを作製した。これにより、当該変異に東アジア集団特異的に自然選択が作用した可能性が高いことが明らかとなった。 (3)HapMapデータベースを用いた、正の自然選択が作用している遺伝子の検出と作用変異の同定 HapMapデータを用い、遺伝的分化の程度を評価する指標であるF_<ST>を、アフリカ系集団vsヨーロッパ系集団およびアフリカ系集団vsアジア系集団に対して計算した。現在、ある特定の表現型に着目し、その表現型に影響を与えそうな遺伝子の中で、大きなF^<ST>を示す領域について遺伝子変異スクリーニングを行っている。 (4)自然選択が作用する遺伝子変異の同定および自然選択遺伝子近傍領域のゲノム多様性変化メカニズムの解明のためのアルゴリズムおよびコンピュータシミュレーションの開発 前向きコンピュータシミュレーション: 正の自然選択または平衡選択が作用する遺伝子変異周辺の連鎖不平衡構造が変化する様子を再現するため、周辺マーカー座位に関して複数座位モデルを仮定したコンピュータシミュレーションプログラムの開発を行った。これにより、淘汰係数および変異が誕生した時期の推定が可能である。
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