2006 Fiscal Year Annual Research Report
エクソン・シャッフリング仮説に基づく新規多機能性タンパク質の創出
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18710164
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
辻 融 (財)癌研究会, 癌研究所蛋白創製研究部, 研究員 (40348850)
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Keywords | 結晶成長 / タンパク質工学 / 進化分子工学 / ハイドロキシアパタイト / ナノバイオ / バイオマテリアル / 移植・再生医療 / 自己組織化 |
Research Abstract |
Dentin Matrix Protein 1(DMP1)は、象牙質などで発現し、生体内でのハイドロキシアパタイト形成に関与するタンパク質と考えられている。このタンパク質のアミノ酸配列中に、ESQESおよびQESQSEQDSからなる領域がある。化学合成したこれら二つのペプチドは、カルシウムイオン存在下で集合体を形成し、リン酸カルシウム溶液からのハイドロキシアパタイトの形成を促進する。また、RKLPDAからなるペプチドは、チタン表面に結合する能力がある。 本年度は、(1)これら三つのペプチドをコードする遺伝子をMolcraft法により組み合わせ、人工タンパク質の遺伝子ライブラリーを構築した。(2)任意に選んだ遺伝子を大腸菌内で発現させ、20種類の人工タンパク質を得た。(3)これらの人工タンパク質の、リン酸カルシウム石灰化作用を解析するための実験系を構築した。具体的にはタンパク質をリン酸水溶液に溶解し、これに塩化カルシウム水溶液を混合する。するとリン酸カルシウムの析出や転移が起こる。この析出・転移に伴うpH変化を観測する方法である。この方法により18種類の人工タンパク質と、比較のためにBSA、リゾチーム、フォスビチンなどの天然のタンパク質の活性を調べた。(4)その結果、6種類の人工タンパク質に、タンパク質濃度依存的な石灰化反応促進作用が観測された。人工タンパク質#64は1μg/mLの低濃度で、また#68は25-125、#72は5-25μg/mlの濃度で明確な促進活性を示すことが分かった。
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