2007 Fiscal Year Annual Research Report
エクソン・シャッフリング仮説に基づく新規多機能性タンパク質の創出
Project/Area Number |
18710164
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
辻 融 Japanese Foundation For Cancer Research, 癌研究所・蛋白創製研究部, 研究員 (40348850)
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Keywords | 結晶成長 / タンパク質工学 / 進化分子工学 / ハイドロキシアパタイト / ナノバイオ / バイオマテリアル / 移植再生医療 / 自己組織化 |
Research Abstract |
ハイドロキシアパタイトなどのリン酸カルシウムは骨や歯の主要な無機成分であり、その結晶成長は、Dentin Matrix Protein 1(DMP1)などの酸性タンパク質の働きにより制御されている。本研究では、リン酸カルシウムの結晶成長を人工的に制御する方法の確立を目指し、それに利用可能なタンパク質を、エクションシャッフリングの原理を模倣して構築することを目標としている。 昨年度は、DMP1のアミノ酸配列中に存在する二つの酸性機能ペプチド(ESQES,QESQSEQDS)を様々な数や順番で組み込んだ人工タンパク質の集団を構築し、その集団の中からリン酸カルシウムの結晶成長を促進するタンパク質を得ることに成功した。 本年度は、人工タンパク質の促進機構を詳細に理解するために、時間分割静的光散乱実験による測定を行った。その結果、(1)人工タンパク質存在下では、リン酸カルシウム結晶の形成および析出が促進されることが再現された。(2)反応の初期に約340nm程度のアモルファス粒子が生成し、その後、結晶性の粒子に転移することが確認された。(3)人工タンパク質は、転移の機構を変化させること、具体的には、直接転換による転移を誘導することが明らかになった。さらに、人工タンパク質の結晶形成促進能(あるいは核生成促進能)を、タンパク質比存在下では核生成が起きない比較的過飽和度の低いリン酸カルシウム水溶液を用いて調べたところ、9種類の人工タンパク質に、析出促進活性が見られた。それらの至適濃度、親水/疎水性度、および等電点などは異なっていた。つまり、結晶形成促進能を持ちつつ、物理化学的な性質の異なる人工タンパク質を、構築できた。
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