2006 Fiscal Year Annual Research Report
RNA血液診断による自己免疫疾患・病因遺伝子の探求
Project/Area Number |
18710168
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
東岸 任弘 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (20379093)
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Keywords | RNA / 血液診断 / 自己免疫疾患 / 病因遺伝子 / 慢性関節リウマチ / リアルタイムPCR / アンフィレギュリン / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
慢性リウマチ(RA: Rheumatoid arthritis)患者由来の骨髄液細胞では過剰発現しているが、対照としての変形性関節症(OA: Osteoarthritis)患者骨髄液細胞ではほとんど発現していない遺伝子群を、独自に開発した段階的サブトラクション法(多段差引法)を主とし、DNAチップ解析(Agilent, Hu44K)を補完的に用いて103種類単離・同定し、AURA(Augmented in RA)と包括的に命名して解析した。AURA遺伝子群のうち10個以上は新規な遺伝子で、そのほかは免疫応答、増殖シグナル伝達、細胞骨格、細胞周期、転写、染色体動態、翻訣、タンパク質分解、核酸分解、アポトーシスなどを制御する既知遺伝子であった。単離した遺伝子については個々の患者における転写レベルをリアルタイムPCRによって調べた。このうちAURA9(=AREG,アンフィレギュリン)遺伝子は、OAや健常人に比べて大半の患者で顕著な転写量が上昇していたので、より詳細な解析を進めた。AREGは増殖因子を産生するので、RA患者の末梢血流に大量に流れていることを期待してELISAアッセイを行ったが、1割以下の例外を除いてOAや健常人と同様に、検出限界以下の量しか流れていなかった。RA患者の骨髄液細胞におけるAREGの過剰発現が滑膜細胞の増殖亢進に影響を与えているかを調べるため、RAとOAの患者滑膜組織を採取し、そこから滑膜細胞を培養して調べたところ、OAに比べてRAの滑膜細胞がAREGに対してやや敏感に応答した。ウエスタン法により調べたところ、RAの滑膜細胞ではその下流のMAPカイネース・シグナル伝達経路の構成因子(ERK1/2)のリン酸化が亢進していることが分かった。これらの結果は、このシグナル伝達経路の下流にシノビオリンが存在することを示すと結論した。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Isolation and expression profiling of genes upregulated in bone marrow-derived mononuclear cells of rheumatoid arthritis patients.2006
Author(s)
Nakamura N, Shimaoka Y, Tougan T, Onda H, Okuzaki D, Zhao H, Fujimori A, Yabuta N, Nagamori I, Tanigawa A, Sato J, Oda T, Hayashida K, Suzuki R, Yukioka M, Nojima H, Ochi T.
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Journal Title
DNA Res. 13(4)
Pages: 169-183