2006 Fiscal Year Annual Research Report
モデル生物・細胞性粘菌由来の低分子化合物を利用した細胞分化機構の解明
Project/Area Number |
18710179
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊地 晴久 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (90302166)
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Keywords | 細胞性粘菌 / 細胞分化 / 細胞増殖 / 天然物化学 / モデル生物 / 構造活性相関 |
Research Abstract |
1.細胞性粘菌の分化誘導因子DIF-1のアミノ基導入体の合成 これまでに得られているDIF-1の構造活性相関研究の知見より,その強力な分化誘導作用を維持したままラベル化あるいはハプテン化するためには,アシル基部分に何らかの官能基を導入する必要があることが明らかとなっている.そこで,DIF-1のアシル基末端にアミノ基を導入した化合物を合成した.その結果,本化合物はDIF-1に比べて約100分の1の分化誘導作用を維持していることが明らかとなった. 2.細胞性粘菌から新たな生物活性物質の探索 Dictyostelium mucoroidesの培養子実体から新規化合物として4-methyl-5-pentylbenzene-1,3-diolを単離・構造決定した.本化合物は極めて低濃度(0.2nM)のDIF-1の存在下で,細胞性粘菌D.discoideumの細胞に対して分化誘導作用を示した.また,ヒト白血病K562細胞およびHL-60細胞に対して増殖抑制作用を示した. ところで,細胞性粘菌は分類学上,子実体の柄の形態からDictyostelium, Polysphondylium, Acytosteliumの3属に分類される.これまでの探索研究はいずれもDictyostelium属を用いて行っているが,他の属の細胞性粘菌を材料として用いることで,新たな化合物の発見につながると考えられる.そこで,Polysphondylium tenuissimumの子実体を大量培養し,それに含まれる化合物の探索を行った.その結果,Pt-1〜4と称する4種の新規化合物を単離・構造決定した.これらの化合物は,いずれもプリンやキノリンなどの芳香族化合物を母核として,プレニル基・ゲラニル基が結合した構造を有しているのが特徴であり,その生合成に興味が持たれる.
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