2006 Fiscal Year Annual Research Report
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18710180
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
末永 聖武 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (60273215)
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Keywords | アクチン / 細胞骨格 / ミカロライドB / 抗腫瘍性物質 / 結晶構造 / アクチン脱重合作用 / 人工類縁物質 / 海洋産マクロリド |
Research Abstract |
アクチン脱重合作用を有する海洋産マクロリド、ミカロライドBの全合成研究を行った。側鎖部およびマクロラクトン部に相当するセグメントを不斉クロチルボレーションや立体選択的還元反応を鍵反応としてそれぞれ合成した後、両者をオレフィンクロスメタセシス反応により連結した。これでミカロライドBのほぼ全ての炭素原子を含む重要中間体の合成が達成できたことになるので、今後マクロラクトン化反応と側鎖部の官能基変換によりミカロライドBの全合成を目指す。また、ミカロライドBの側鎖部に関して、2種の人工類縁物質を合成したところ、いずれも顕著なアクチン脱重合活性を示した。 アクチン脱重合作用を有する海洋産抗腫瘍性物質アプリロニンAに関連して以下の研究を行った。最近、研究代表者らによりアクチンに作用する抗腫瘍性物質とアクチンの相互作用が、複合体の結晶構造解析によって明らかになった。この結晶構造に基づき、相互作用に重要と考えられる部分構造を有する有機小分子を設計した。立体選択的アルドール反応、高井ヨードオレフィン化反応、BuchwaldらのN-アルケニル化反応を鍵反応として用い、その合成を短段階で効率良く達成することが出来た。合成した小分子のアクチン脱重合作用を評価したところ、アプリロニンAの約130分の1程度と弱いながらも、活性を示した。この結果を受けて、活性の向上を目指して新たな誘導体を設計し、オレフィンクロスメタセシス反応を用いて炭素鎖を伸長した誘導体を合成した。今後、この誘導体の活性を評価した後、さらに活性向上を目指して研究を進める。 また、アプリロニンAと類似の化学構造を有し、強いアクチン脱重合作用を有する他の海洋産マクロリドの合成研究に着手した。
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