2006 Fiscal Year Annual Research Report
ケミカルジェネティクスによる新規有糸分裂阻害化合物の探索と作用機序の解析
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18710188
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
澤田 潤一 静岡県立大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (70381738)
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Keywords | ケミカルジュネティクス / 有糸分裂 / 化合物 / ケミカルバイオロジー |
Research Abstract |
本研究課題では、細胞膜透過性で低分子量の新たな有糸分裂阻害化合物を見出し、その化合物の持つ生物学的特徴を明らかにすることを目指す。研究手法としては、近年注目されているケミカルジェネティクス的手法を駆使して、分裂期の進行、しいては染色体の娘細胞への均等分配の制御機構を分子レベルで解明しようと計画している。 初年度である平成18年度では、化合物ライブラリーより新たな有糸分裂阻害化合物の探索・同定を試みた。キネシンタンパク質を用いた試験管内反応を利用し、化合物ライブラリーよりドラックライクな化合物を選抜しミニライブラリーを作製した。この選抜過程では、キネシンタンバク質としてCENP-EおよびKid、MKLP1、KIF4、HSET、KIF15、KIF18由来のモータードメイン組換えタンパク質を大腸菌発現系にて発現・調整し、豚脳より精製したチュブリンタンパク質で再構成した微小管と混ぜることで得られるATPase活性を指標にした。次に、ヒト子宮頸がん由来HeLa細胞に処理することで、ミニライブラリー化合物の有糸分裂阻害活性を評価した。M期のバイオマーカーとしてヒストンH3タンパク質のリン酸化状態および微小管と染色体DNAの状態を用い、化合物処理細胞の免疫染色像を顕微鏡下で観察することで評価した。その結果、HeLa細胞のM期進行を阻害する活性を持つ化合物を複数同定することに成功した。続いて、これら化合物の細胞周期M期停止に必要な濃度と細胞増殖抑制に必要な濃度をHeLa細胞により測定することで、有糸分裂阻害化合物としての評価を行い、数化合物が有糸分裂阻害化合物であることを見出した。 培養細胞内における標的因子を検討するため、これら化合物が上記キネシンタンパク質のATPase活性を阻害するか否かを試験管内アッセイで検討したところ、細胞に効果を示す濃度ではキネシンタンパク質を阻害しないことを明らかにした。
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