2006 Fiscal Year Annual Research Report
触媒作用を有する人工金属フィンガータンパク質の創製
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18710190
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
根木 滋 同志社女子大学, 薬学部, 助手 (50378866)
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Keywords | 亜鉛フィンガー / 金属フィンガー / ペプチドデザイン / DNA認識 / GAGAファクター / 人工ペプチド / 配位結合 / 転写因子 |
Research Abstract |
本研究では、転写因子に存在するDNA結合ドメインである亜鉛フィンガータンパク質を用い、それらを人工的にリデザインすることにより新しい機能を有する人工機能性タンパク質の創製を試みている。本来、亜鉛フィンガータンパク質は特定のDNA配列を認識し、選択的に結合する能力は持っているが、何らかの生体反応を触媒する酵素のような機能は持ち合わせていない。一方、亜鉛フィンガータンパク質の構造に注目してみると、一つのフィンガードメインは僅か30残基のアミノ酸から構成されており、その形状はコンパクトに折りたたまれた球状タンパク質であるが、亜鉛イオンなどの金属イオンとの配位結合能およびDNA配列認識、結合能の2つの精密な分子認識能を持ち合わせた非常に高機能なタンパク質ドメインである。したがって、亜鉛フィンガータンパク質をリデザインする際に、これらの金属結合およびDNA結合部位は格好のそのターゲットとなりうる。本研究では亜鉛イオン結合部位に注目し、亜鉛イオン以外の金属イオンを導入した‘金属フィンガータンパク質'の創製に取り組んだ。ここでは転写因子の1つであるGAGAファクターの亜鉛フィンガー型DNA結合ドメイン(GAGA-DBD)を用いて、野生型および金属配位部位のシステイン(C)およびヒスチジン(H)変異を加えた変異体を作製し、種々の金属イオンとの相互作用について検討を行った。その結果、野生型であるC2H2型GAGA-DBDにおいてコバルトイオンを導入することにより亜鉛イオンと同様の二次構造誘起を起こし、さらに特定のDNA配列に野生型とほぼ同様の親和性で結合することが分かり、いわゆる‘コバルトフィンガータンパク質'の創製に初めて成功した。さらに、作製した変異体の中でCHHHおよびHCHH型では、他の金属イオンは配位しなかったものの、亜鉛イオンを加えた際にエステル結合を加水分解する能力があることを発見し、現在も詳細に検討中である。
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