2006 Fiscal Year Annual Research Report
1960年代の雑誌にみるニュージーランド女性の表象と意識変化
Project/Area Number |
18710204
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
原田 真見 北海道大学, 言語文化部, 講師 (40348298)
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Keywords | ニュージーランド / 地域研究 / 女性史 / メディア / 女性雑誌 |
Research Abstract |
平成18年度は主として資料収集およびその整理を行った。 1.調査:ニュージーランドではウェリントンの国立ターンブル図書館等において、本研究の主要資料であるNZ Woman's Weeklyのバックナンバーを始め、1960年代の女性・育児に関る団体の資料を収集した。日本国内では、女性・生活情報に特化した東京のお茶の水図書館での資料収集を2回にかけて行い、NZとの比較研究のため日本およびアメリカの代表的女性雑誌の資料を集めた。 2.資料整理・分析:ニュージーランドにおいて「変わりゆく女性」の時代と称される1960年代には、家事・育児・夫婦関係・職業に対する女性の姿勢が確かに少しずつ変化しつつあったが、他方で幾度となく因習的な価値観への揺り返しが見られた。女性のいわゆる社会参加の動きにおいて、ベクトルは一方向だけを指していた訳ではなく、伝統的に求められる(社会そして女性自身の抱く)女性観と折り合いをつけることにより、変わりゆく女性像が徐々に定着していったと考えられる。ニュージーランド社会に特有なのは革新性ではなくむしろ伝統的意識とかち合わないような形で社会変化に対応しようとする実際性ではないかというのはこれまでの研究でも考えてきたことであるが、同時代の日本・アメリカの雑誌と比較すると更にその特質が顕著に現れてくる。平成19年度は更に精密な比較分析を進めると同時に、研究目的の一つに掲げている、ニュージーランド女性史における雑誌資料の中核的な位置づけの明確化を図りたい。 3.発表等:平成18年度は、国内のニュージーランド研究者との意見交換は数度行うことが出来たが、改まった発表の機会はなかった。19年度は国内学会においてこれまでの分析結果についての発表を行う予定である。
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