2006 Fiscal Year Annual Research Report
東アフリカ小農による内発的発展の特徴とその地球的意義
Project/Area Number |
18710206
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
阪本 公美子 宇都宮大学, 国際学部, 講師 (60333134)
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Keywords | 内発的発展 / タンザニア / 東アフリカ / 再生産活動 / ジェンダー / サブシスタンス / インフォーマル / 小農 |
Research Abstract |
本研究は、事例及び比較研究を通して、東アフリカ小農による内発的発展の特徴とその地球的意義を明らかにすることを目的としているが、本年度は、フィールド調査を通じての情報・資料収集から事例研究を深め、国内外の会議・学会・研究会への参加、文献研究等を通じて比較研究に努めこれらの研究の理論化もすすめた。 タンザニア南東部におけるフィールド調査では、インタビュー及び参与観察を通じて、地域内の相互扶助関係について綿密な調査を行った(インタビュー結果については論文11.2参照)。その結果、貨幣経済の浸透は見られるものの、食料・貨幣獲得、冠婚葬祭における相互扶助の規範は根強く維持されていることを明らかにした。但し、ジェンダーをはじめとする規範の非対称性と、相互扶助関係から阻害されている少数派も存在している点は、注意を必要とする。男女分業については男性が貨幣を獲得する役割と認識されている傾向があり、女性の家事及び農作業の労働過重負担も見られたが、男女ともに農作業が最も重要な労働と見なしており、貨幣経済の浸透に関わらずサブシスタンス(再生産活動)が生活の中心に置かれている例を提示した(論文11.1参照)。 本研究成果については、東アフリカの内発的発展の特徴として理論化してきた(論文11.3、図書11.4)とともに、PEKEA(ダカール)やアフリカ・モラル・エコノミー(福井)等の国際会議等で精力的に発表してきた。更に、意見交換、他事例に関する情報収集を通じて比較研究も進めている。西アフリカ(マリ・セネガル)における情報収集からは、東アフリカと比較して家畜の重要性や男女関係の違いが顕著であった。タンザニア南東部の事例を相対化した結果、本地域が母系性の傾向があるため特異な特徴も有している側面に注目しており、その特徴も、内発的発展と関連して研究を地球規模の視野ですすめてゆきたい。
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