2007 Fiscal Year Annual Research Report
東アフリカ小農による内発的発展の特徴とその地球的意義
Project/Area Number |
18710206
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
阪本 公美子 Utsunomiya University, 国際学部, 准教授 (60333134)
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Keywords | 内発的発展 / タンザニア / 母系的社会 / 東アフリカ / ムウェラ / ジェンダー / 小農 / 東アフリカ |
Research Abstract |
本研究は、事例・比較研究から東アフリカ小農による内発的発展の特徴とその地球的意義を明らかにすることを目的としているが、本年度も引き続きフィールド調査による情報・資料収集から事例研究を更に深め、文献研究、学会・研究会への参加を通じて比較研究に努めた。 タンザニア南東部でのフィールド調査では、インタビュー・聞き取り調査・参与観察を通じて、地域内の相互扶助関係等について綿密な調査を行った。その結果、R村でもM村と同様、貨幣経済の浸透の中でも相互扶助規範が維持されており、その中でも親族に頼る割合が多かった。但し食料不足の度合いはR村ではより深刻であり、サブシスタンス(再生産活動)基盤が脆弱であった。また相互扶助関係の季節性を分析し、女性が食料の有無をより敏感に察知し行動していることも明らかにした。そしてR・M村双方において、夫不在で生活し、畑を単独で所有している女性が目立った。(論文11.2、アフリカ学会、アジア社会研究会等にて発表) 本調査村はムウェラが多数居住しているが、マクア、マコンデ、ヤオ等の周辺民族とともに従来母系的社会であり、近年父系的影響によって変容しているという。相互扶助関係において親族が最も頼られるという点、そして単身女性による畑所有の特徴などからも喚起され、姓名・氏族等の聞き取りを行い、R村の11親族、M村の10親族の家系を調査した。その結果、姓名からイスラム教による父系的影響、及び氏族継承から母系継承の氏族(ウコー)だけでなく伝統的に父系継承の「キラワ」が存在するというムウェラの特徴を、明らかにした(次回アフリカ学術大会にて発表予定)。 東アフリカ小農による内発的発展の特徴とその地球的意義については既に論文11.1において明らかにしたが、今後、母系的社会やジェンダーとの関係については、更に明らかにしたいと考える。
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