2006 Fiscal Year Annual Research Report
「民主主義の質」分析のための枠組み構築-メキシコの治安問題を題材に-
Project/Area Number |
18710215
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
箕輪 茂 上智大学, イベロアメリカ研究所, 助手 (10407356)
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Keywords | 地域研究 / 比較政治 / メキシコ / 治安問題 / 民主化 |
Research Abstract |
メキシコにおいて民主化過程が民主後の体制の政策決定・遂行能力にどのような影響を与えてきたかを明らかにするという観点から、本年度は主にメキシコの複数の都市において研究課題に関する基礎的データの収集と予備調査を行った。調査地はメキシコ市、グアダラハラ市、モンテレイ市、モレリア市、サモラ市、クエルナバカ市。期間は2006年8-9月。メキシコ市では、連邦政府とメキシコ市政府が1980年代以降に行なわれた法改正の変遷や治安回復プログラムに関する資料、国立統計地理情報院(INEGI)の統計資料の収集、大学・研究機関に所属する研究者や連邦検察庁幹部への聞き取りを行ない、各政府の治安対策の変遷やその結果、それぞれの対策が抱える問題点などに関する概要を調査した。また同様の目的で、グアダラハラ市、モンテレイ市においても各州と各市における治安維持関連法と治安回復プログラムに関する資料の収集、研究者に対する聞き取り調査を行った。この結果、連邦・州・市の各レベルにおいて治安問題が深刻になった90年代前半から様々な対策が行なわれるようになったが、特にメキシコ市においては現在に至るまでその成果が出ているとは言えない状況にあることが明らかになった。モレリア市、サモラ市、クエルナバカ市では地方都市の事例として採用することが出来るかどうかの予備調査として、州や市の公文書館や大学図書館を視察、研究者や州政府および市政府治安担当機関職員への聞き取りなどを通して資料入手可能性などを調べた。 本年度に得られた資料は現在分析中であり、諸対策が十分に目的を達成していない原因と、政治的変化との間の関連を検討した上で、その結果を論文などの形で発表していく予定である。
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