2006 Fiscal Year Annual Research Report
看護師として働く男性のジェンダーの現状と今後の課題
Project/Area Number |
18710220
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Research Institution | Jobu University |
Principal Investigator |
小池 武嗣 上武大学, 看護学部, 講師 (70345495)
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Keywords | 男性 / 看護師 / ジェンダー / 性差 |
Research Abstract |
現在、日本における男性看護師の数は、いまだに看護師全体の約3.7%と少数1である。年々わずかずつ増加しているが、この傾向は、アメリカをはじめとする、欧米諸国も同様である。男性看護師の少ない国では「看護は女性の仕事」という社会的な固定概念が,男性の職業選択に根強く影響している。男性が看護職に就こうとする時、直面する困難は、女性の男性社会への進出と同様か、あるいはそれ以上のものである。 21世紀に入り、日本では少子・高齢化社会による人口構造の変化や、それに伴うケアの増大、多様性が進んでいる。このような看護に対するニーズの増大、多様性から、看護教育が重視され、プロフェッショナルな看護者を養成する看護大学・大学院の新・増設が進められてきている。看護の安定した供給のために、様々な施策が行われてきたが、女性の多い看護の集団では、女性のライラスタイルによる影響を受けることは否めず、看護の質の向上が求められている現代において、男性看護師の増加が望ましい。 本研究では、現在の現役で働いている男性の看護師の実態調査を行うことにより、どのような社会背景、心理状態で看護師を職業選択したのが、または現在抱えている男性ゆえの苦悩、悩み、ストレスを明らかにすることを目的とする。そして、今後、男性看護師を増加させていくために必要な基礎資料となりうるよう、継続調査、研究を進めていく。以下、継続中の研究内容である。 1.対象者 全国の病院で働いている男性の看護師約2万人の中で、本研究に調査協力を得られた方を対象とする。 2.データ収集方法 1)郵送によるアンケート調査、半構成的インタビュー調査を行うため、インタビューガイドを作成。 ・インタビューガイド (1)基本的属性:年齢,最終学歴,(2)対象者をとりまく環境について:所在地,既婚の有無(3)男性看護師を選択した最初のきっかけ(4)きっかけから,最終的な決断に至るまでに行った行動の過程(5)きっかけから、最終的な決断に至るまでの思考の過程(6)現在の男性ゆえの悩み、ストレスなど 2)調査により、男性看護師の存在が多い病院が把握できるため、その病院の管理職の方に、男性看護師の現状を面接により、聞き取り調査する。 ・インタビューガイド (1)者病院での男性看護師の現状(人数、配置など)(2)男性看護師をとりまく環境について(3)男性看護師に関する病院内の問題点(4)男性看護師に望むこと 3.データ分析方法 郵送によるアンケート調査・半構成的インタビュー調査の内容分析に関する文献を参考に、ベレルソンの内容分析に基づき、以下の手順で分析する。 1)看護師を職業選択する時期の行動及び、思考に関する部分を、それぞれ文脈単位として抽出する。 2)支脈単位とし抽出したものを、記録単位とし、対象著の表現を用いて要約し、初期コードを作成する。 3)初期コードを一般的な用語となるように、一般的コードを作成する. 4)行動・思考に関する一般的コードを内容の類似性から、類型化し、サブカテゴリーを抽出し命名をする。 5)サブカテゴリーをさらに類型化し、カテゴリーを抽出し命名をする。 6)カテゴリーをさらに類型化し、分類に命名をする。 7)類型化したものを、それぞれ行動パターン・思考パターンとし、文脈単位のなかでの組み合わせに基づいて対応させ、行動パターンと思考パターンの関係性を検討する。
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