2006 Fiscal Year Annual Research Report
戦前期日本の買売春に関する社会史的研究-自廃・在外売春婦・農村身売の社会問題化-
Project/Area Number |
18710225
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Research Institution | National Women's Education Center |
Principal Investigator |
羽田野 慶子 独立行政法人国立女性教育会館, 研究国際室, 研究員 (50415353)
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Keywords | ジェンダー / 買売春 / 社会史 |
Research Abstract |
近代日本における買売春は、江戸時代後期に成立した公娼制度を基盤とし、明治期から戦後の売春防止法成立(1956年)まで、国家公認の制度として管理/保護され、存続してきた。公娼制度の周辺には、無許可で営業を行う私娼が存在し、また芸者(芸妓)や酌婦、女給といった男性向けの飲食店で働く女性たちにおいても、半ば公然と買売春が行われてきた。さらに、国内の買春業者に伴われて海外へ渡る「在外売春婦」も数多く存在した。本研究は、戦前期の日本における買売春を主目的とした人身売買問題の実態と社会的構築過程を、社会史的アプローチによって解明しようとするものである。 平成18年度は、(1)戦前期の買売春目的の人身売買/地域移動に関する統計的資料の収集とデータ構築(2)公娼制度、廃娼運動、女子教育に関する年表作成、(3)先行研究の収集・整理を行なった。 (1)では、『警察統計報告』(各年度)、内務省社会局社会部『芸娼妓酌婦女給の本籍地並稼業地別人員調』(昭和10年)をもとに、府県ごとの芸妓・娼妓・酌婦・女給の人数に関するデータベースを作成し、人口規模別の輩出率を算出した。 (2)では、明治期から1950年代までにかけての関連事項を整理し、年表を作成した。 (3)では、歴史学、文化人類学、社会学、ジェンダー研究の各領域における関連する著書および論文の収集・整理をおこなった。
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