家族主義福祉レジームにみる「脱家族化」概念と有償ケアの「女性化」、「移民化」

2008 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 18719002
• Research Institution: Ohtsuki City College
• Principal Investigator: 宮崎 理枝 Ohtsuki City College, 准教授 (20435283)
• Keywords: イタリア / 介護労働 / 移民 / 介護政策 / 家族責任 / 社会的包摂 / 要介護高齢者 / 非正規労働

Research Abstract

平成18年度は、家族主義的福祉国家と南欧型福祉国家に関する先行理論研究の文献収集、整理と分析、それによる問題提起を行った。社会政策学会における口頭発表(大分大学)論題:「家族主義的福祉レジームにおける<脱家族化>概念-イタリアにおけるケア労働の事例から」で、日本とイタリアの福祉レジームとケアレジームの様相は異なることを明らかにし、日伊のケアレジームに関する研究の必要性を指摘した。
平成19年度は、2007-8年のイタリアの高齢者ケア政策の動向を『世界の福祉年鑑2008』にまとめた。また、イタリアの要介護高齢者による障害者の現金給付制度の利用の急増に関して、「大原社会問題研究所雑誌」第592号に研究論文を発表した。さらに、日伊比較分析の着手にあたり、日本の介護政策の現状と「家族主義的」福祉国家としての特徴を、イタリア、トレントの移民女性支援活動の非営利団体DONNE NISSA'のHP上にイタリア語論文"Situazione attuale del sistema dicura per gli anziani non-autosufficienti in Giappone come un paese familiaristico"を発表。このほか、トレント、ボルツァーノ、ミラノ、ローマの自治体の福祉サービス担当者、ケア労働者や外国人労働者支援の社会的協同組合、課程とケア労働者のマッチングを行う公的ならびに準公的機関へのヒアリング調査を実施。
平成20年度は、それまでの文献ならびに現地のヒアリング調査の総括的な作業を実施。その成果を、『現代イタリアの社会保障-ユニバーサリズムを超えて』(共著)(旬報社)、ならびに「イタリアにおける介護制度と介護者」『大月短大論集』(2009年3月)で発表。
平成21年度は、前年度の総括作業の中で必要性が明らかとなった労働市場における女性の状況と家庭での無償労働の状況に関する日伊比較研究を行い、英論文「家族主義型福祉国家における家庭と仕事の"両立"-日本とイタリアの類似性と対照性(仮題)」を執筆。