2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18720013
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西村 直子 東北大学, 大学院・文学研究科, 助手 (90372284)
|
Keywords | ヴェーダ祭式 / 搾乳 / 乳酸製造 / ヤジュールヴェーダ / マントラ / ブラーフマナ |
Research Abstract |
本研究は,ヤジュルヴェーダのマントラ(ヤジュス:個々の行作に伴って唱える祭詞)と,これに対するブラーフマナ(マントラの解釈,意義付けと神学的議論)の翻訳・精査を通じ,古代インドの祭式文献及び祭式の展開を最古層から解明することを目的としている。 ヤジュルヴェーダ各学派のサンヒター及びブラーフマナの中で「搾乳と酸乳製造」と関わりのある箇所を抽出し,それらの校訂テキスト作成と翻訳・注解を行った。シュラウタ・スートラ(祭式綱要書)の対応箇所は適宜引用し,同様にテキストと翻訳を掲載した。主要テキストは,マイトラーヤニー・サンヒター,カタ・サンヒター,タイッティリーヤ・サンヒター,タイッティリー・ヤブラーフマナ,ヴァージャサネーイ・サンヒター,シャタパタ・ブラーフマナである。これに,他学派に属するアイタレーヤ・ブラーフマナ,カウシータキ・ブラーフマナ,ジャイミニーヤ・ブラーフマナ,パンチャヴィンシャ・ブラーフマナを必要に応じて参照・引用した。 この過程で,特に精査の必要な問題が生じ,多くの時間を費やした。即ち,動詞pra-varjの語義確定,毎晩・毎朝熱した乳を献供するアグニホートラ祭との関連,ソーマ祭中の一儀礼であり,アシュヴィン双神に熱した乳を献供するプラヴァルギャ祭との関連等である。これらについては未だ検討すべき問題が残っており,次年度も継続して精査を続ける予定である。 本年度に中心的に扱うことを予定していたインドラによるヴリトラ殺しの神話については,その大枠については明らかにし得たものの,細かな点の検討は次年度に行うこととした。
|