2007 Fiscal Year Annual Research Report
聖典解釈学を中心とするインド哲学文献の写本調査・原典批判・思想史研究
Project/Area Number |
18720014
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片岡 啓 Kyushu University, 人文科学研究所, 准教授 (60334273)
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Keywords | サンスクリット / 写本 / 聖典解釈学 / インド / ネパール / インド哲学 / 論理学 / ミーマーンサー |
Research Abstract |
夏にあわせて二回のインド,ネパール現地写本調査旅行を行なった. インド調査旅行では,フランス極東学院ポンディシェリ校を訪ねた.シヴァ教写本の調査のためである.また,サンスクリットテクストの続み合わせを行い,拙稿「ジャヤンタによる論理学の位置付け」の和訳の不備を正すことができた.アディヤール・ライブラリーとの交渉の上,再度の撮影許可が下りたので,同地から出発した友人が論理学関係の古写本を撮影するこができた.以前に入手した電子画像の画質が悪いため,再度の撮影を模索していたものである.ポンディシェリ校の現地スタッフの協力もあって,幸い,古写本の高画質画像データを入手することができた.また所長のグッドール教授とは,2008年に予定している新発見写本に関する共同研究について細部を詰めることができた. ネパール国カトマンドゥでは,ドイツ政府のネパール研究センター(Nepal Research Centre)およびネパール国立公文書館(National Archive)を訪問した.ネパール・ドイツ写本保存プロジェクトが撮影した写本複写を入手するためである.現地スタッフの協力のもと,ネパール国立公文書館所蔵の写本複写を入手することができた.聖典解釈学の写本とともに仏教関係写本を入手しえた.またマイクロフィルムだけでなく,デジタル化した写本画像データも入手することができた.同時に同研究所の所長でありハンブルク大学のアイザクソン教授と,サンスクリットテクストを読み合わせた.成果は拙稿「ジャヤンタによる論理学の位置付け」として出版した.また貴重な貝葉写本を有するKesar Libraryを訪問,図書館長の許可を得てのデジタルカメラで写本撮影を行なった. 従前より蓄積してきた写本研究の成果として『堅典解釈学経シャバラ注』の校訂テクストを『東洋文化研究所紀要』より出版した.聖典解釈学の思想史研究のみならず仏教論理学文献についても和訳を発表した.また以前に公表した論理学関係テクストの批判校訂本に基づく和訳を公刊した.以上のように,写本研究,訳注研究,思想史研究にまたがりながら,インド哲学文献について所期の成果をあげることができた.
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