2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18720015
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
長谷川 岳史 龍谷大学, 文学部, 助教授 (00309105)
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Keywords | 仏教学 / 印度哲学 / 中国仏教 / 中国哲学 |
Research Abstract |
平成18年度は、主たる研究対象資料の全体像を知るために、慧遠(523〜592)・智〓(538〜597)・吉蔵(549〜623)・道綽(562〜645)を中心として、同時代的視座から同一仏典に対する彼らの注釈書の解読・情報抽出を行い、著作時期や地理的条件を考慮しつつ、形態・内容の分析、引用文献や共通課題の抽出とその処理方法の比較を通して、彼らの著作間の相関関係を解明することを目標とした。 対象としたのは1.『観無量寿経』に対する注釈書、2.『維摩経』に対する注釈書、3.『無量寿経』に対する注釈書、4.『涅槃経』に対する注釈書、5.『法華経』に対する注釈書、6.『金光明経』に対する注釈書、7.『金剛般若経』に対する注釈書、8.『仁王般若経』に対する注釈書である。中でも1、2、6においては、著作間の相関関係が顕著であると判断でき、また、吉蔵の移動経路や著作時期を追う過程で、階代における教学の広がり方やその範囲の解明の糸口を見出した。さらに、階代仏教の中心課題が仏身観や仏国土観、真如観などにあったことも判明した。成果の発表については、現在、「同時代的視座からみた階代仏教における『観無量寿経』解釈」と「同時代的視座からみた階代仏教における『金光明経』解釈」を論文として発表する準備をしている。その他については平成19年度の成果を見据えながら公表の仕方を判断する。 平成19年度は、前年度に研究対象資料としたもの以外の慧遠・智〓・吉蔵の著作類を中心に、慧遠撰『大乗義章』や吉蔵撰『三論玄義』『大乗玄論』などの綱要書、『摩訶止観』など智顎関係に多くみられる実践書なども視野に入れ、前年度の成果との整合性を確認しつつ検討する。
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