2007 Fiscal Year Annual Research Report
中井正一の政治思想『委員会の論理』と民主主義実践の可能性を中心に
Project/Area Number |
18720020
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
葛西 弘隆 Tsuda College, 学芸学部, 准教授 (70328037)
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Keywords | 民主主義 |
Research Abstract |
2007年度は、前年度の成果をふまえて、主として次の課題に取り組んだ。第一は、中井正一の「委員会の論理」と、彼が中心となって活動した雑誌『土曜日』の連関についての分析であり、第二は、中井正一の議論をふまえたうえでの、現代民主主義論についての研究である。 第一の課題については、中井の主要著作の分析を進めると同時に、2008年3月にスウェーデンの国立国際関係研究所で行われたNordic Association for the Study of Japanese Studies第5回会議に参加し、この間の成果を'Democracy and Knowledge:Masakazu Nakai's"Logic of Practice'として報告した。中井正一のテクスト読解を手がかりとして、戦時期思想史と現代社会論を接続させる問題設定の可能性について有意義な討議とコメントを得ることができたことは、2008年度の研究に向けて大きな収穫である。 第二の課題については、前年度に研究代表者が翻訳刊行したシャンタル・ムフの『民主主義の逆説』をふまえつつ、現代ラディカル・デモクラシー論の理論的射程について、「ラディカル・デモクラシーと『政治』の複数性」を雑誌に寄稿した。 また、戦時期思想史にかんする新たな国際共同研究プロジェクトの企画にむけて、日本、アメリカ、ドイツの研究者と準備を始めた。研究代表者は中井正一の民主主義的読解を中心に貢献する予定である。
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Research Products
(3 results)