2008 Fiscal Year Annual Research Report
中井正-の政治思想「委員会の論理」と民主主義実践の可能性を中心に
Project/Area Number |
18720020
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
葛西 弘隆 Tsuda College, 学芸学部, 准教授 (70328037)
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Keywords | 民主主義 |
Research Abstract |
2008年度には、主として次の課題に取り組んだ。第一は戦時期日本の思想における中井正-の位置づけについての分析であり、第二は雑誌『土曜日』と戦後日本の民主主義思想との連関についての探究である。双方の論点について、国際的な学会で報告ならびに討議する機会を得ることができた。 第一の課題については、中井正-が「委員会の論理」を提示し、雑誌『土曜日』のプロジェクトに関わった1936年前後、すなわち日中戦争前夜の知識人の戦時動員体制の状況との連関に注目し、ファシズムにたいする中井の理論的かつ実践的抵抗運動が、同時代の帝国日本の技術思想/政策の国際的な環境とどのように連関するかについての検討を進めた。この課題については、2008年4月のアメリカアジア学会(AAS)におけるパネル<Migrating Sciences and Technologies of Power in Imperial Japan>に参加し、ディスカッサントとして日独国際関係思想史、日本の植民地支配における技術思想との関連で問題提起を行った。 第二の課題については、雑誌の内容に読者が積極的に参加するリーダーシップの構築を通じて民主主義的な主体性を構築しようとした『土曜日』の試みが、戦後においては、花森安治が中心となって1948年に創刊された雑誌『暮しの手帖』のなかに精神として引き継がれていることを明らかにし、2009年3月の北欧現代日本研究会(NAJS)において、<On Hanamori Yasuji and Kurashi no Techo>として発表した。
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Research Products
(3 results)