2006 Fiscal Year Annual Research Report
江戸時代上方歌舞伎文化圏を対象とした演奏者に関する実証的研究
Project/Area Number |
18720023
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
武内 恵美子 秋田大学, 教育文化学部, 助教授 (30400518)
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Keywords | 歌舞伎 / 演奏者 / 音楽 / 組織 / 統計解析 / 番付 / 近世 / 上方 |
Research Abstract |
本研究代表者は、歌舞伎役割番付を基礎資料とした江戸時代の上方歌舞伎における演奏者の個人的動向と組織構造の研究を行っている。本研究課題では、(1)基礎資料となる歌舞伎役割番付調査の促進、(2)近世上方歌舞伎の興行範囲ならびに影響範囲の解明、(3)(2)の地域における演奏者の動向に関する研究を目標としている。 18年度は上方近郊、かつ上方歌舞伎の直接的な興行地として考えられる地域、すなわち名古屋・伊勢を中心とした東海地域、和歌山・尼崎・神戸・兵庫などの大坂周辺地域ならびに兵庫周辺地域を対象とした。方法としては、はじめに大阪府立中之島図書館、阪急学園池田文庫、早稲田大学演劇博物館、国立国会図書館、実践女子大学付属図書館の各図書館に所蔵されている、当該地域の歌舞伎役割番付資料の所蔵状況調査を行った。次に、当該地域の県立・市立図書館、県立・市立博物館、県立・市立の資料館、私立の資料館等に資料所蔵の有無、県内あるいは市内、近郊の他の所蔵先の情報確認を行い、所蔵が確認できた歌舞伎役割番付については調査を行った。また収集した複写資料については情報をデータベース化するという作業を行った。 本年度の調査に基づく研究は、上方歌舞伎の中心地域との比較、ならびに次年度以降の他の地域との比較が必要となるため、まだ完全な分析は出来ないが、現段階で明らかになった特徴は以下の通りである。第一に、歌舞伎番付を大量に保持している上記6図書館・文庫における調査では、当該地域の資料に関しても一定数の所蔵が確認されたが、量的にはかなり少数であった。第二に、当該地域の公立図書館'・博物館・資料館等の所蔵状況は、名古屋周辺を除けばかなり劣悪であり、現地での番付残存はほぼ皆無に近い状況であった。これが上演当時の番付発行数と関係があるのか、本年度該当地域の特徴であるのか、地方都市の一般的な状況であるのかを次年度以降の調査と比較して検討したい。
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