2007 Fiscal Year Annual Research Report
女性小説家と愛国主義の創作-19世紀英国小説を中心に
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18720067
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
吉野 由利 Hitotsubashi University, 大学院・法学研究科, 講師 (70377050)
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Keywords | 英米文学 / アイルランド文学 / 19世紀小説 / 女性作家 / 愛国主義 / patriotism / Maria Edgeworth / Walter Scott |
Research Abstract |
(1)研究対象の作品の意義と系譜を、近年のイギリス文学・アイルランド文学研究における「正典の見直し」の文脈で再検討した。成果の一部はJournal of Irish Studiesや『英語青年』の誌上で発表した。 (2)「愛国者」をテーマにするパンフレットや文学作品をイギリス・アイルランドにおける資料調査を通して概観し、研究対象のテクストを取り巻く政治・文学言説のサンプル抽出とその分析を行った。また、Austen, Burney, Edgeworthの作品が理想の愛国者として描く登場人物は、しばしば多言語能力を体現することから、当時の辞書や語学教育書などの一次資料も調査した。 (3)Austen,Burney,Edgeworthの小説と、同時代男性小説家の「正典的な」作品との差異を分析するには、各作品が「歴史」とどのような関係を結んでいるのか考察することが重要である。従って、WalterScottの「歴史小説」との比較は有用であり、19年度も継続した。また、知名度は低いものの、「年代記」や「歴史」の体裁を取るJohn Galt の小説も関連性が高いので、比較材料とした。 (4)海外における資料調査は、ロンドン、エジンバラ、グラスゴー、ダブリンの主要図書館で行い、現地研究者との意見交換も行った。 (5)成果に関しては、18年度国際学会で試論を発表したので、19年度はそのフィードバックを踏まえながら、刊行物の発表に専念した。(18年度着手した原稿の推敲・校正作業も含む。)
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