2008 Fiscal Year Annual Research Report
Cobbettとロマン主義 : 新紙幣制度の受容に関する研究
Project/Area Number |
18720082
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Research Institution | Kure National College of Technology |
Principal Investigator |
江口 誠 Kure National College of Technology, 一般科目, 准教授 (50332060)
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Keywords | 英米文学 / ロマン主義 / イギリス文化研究 / Cobbett / イギリス |
Research Abstract |
平成20年度は、一昨年度及び昨年度に引き続き、イギリスのジャーナリストであるWilliam Cobbett(ウィリアム・コベット)関連の資料収集を行った。特に、新紙幣制度や金本位制度に関する資料の中でも、日本では入手不可能な当時のパンフレット類や法案の議事録等については、イギリスのBritish Libraryに於いて必要な資料収集を行った。 また、これまでの研究で得られた紙幣制度、ロマン主義そして想像力に関する成果をもとに、19世紀初頭のロマン派詩人の作品に焦点をあて、その受容について研究を行うことにした。中でも、P. B. Shelley(パーシー・ビッシュ・シェリー)の有名な詩論であるA Defence of Poetry『詩の擁護』、及び普通選挙の必要性を説いた散文であるA Philosophical Vier of Reform『議会改革の哲学観』という2つの散文に特に注目し、「想像力とロマン主義一シェリーの詩論に関する-考察-」と題した論文を発表した。シェリーは、コベットと同じく金本位制度を支持し、紙幣制度そのものを批判していた人物であった。しかしながら、彼の主張する真の功利主義という概念については、実際には想像力への依拠という点に於いて、そのテーマと多くの共通点が見られることが分かった。 平成20年度は、それに加えて、『「ピータールー虐殺」と『無秩序の仮面』-シェリーの詩論と対立の構図-』と題した論文の執筆を終えた。ここでは、継続して研究対象としているシェリーの想像力に焦点を当て、シェリーのThe Mask of Anarchy無秩序の仮面』に見られる対立の構図を解き明かす試みを行った。本論文は、共著として平成21年度中に発行の予定である。
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