2007 Fiscal Year Annual Research Report
1949年以前の中国映画界における外国映画の受容とその影響に関する研究
Project/Area Number |
18720090
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
菅原 慶乃 Kansai University, 文学部, 准教授 (30411490)
|
Keywords | 中国映画 / 租界 / 検閲 / 映画雑誌 / 『危険大歓迎』 |
Research Abstract |
今年度は、前年度に引き続き基礎的資料の閲覧・収集を行い、特に1920年代〜1930年半ば頃までの中国国産映画史の発展状況と外国映画の受容状況に焦点を当て研究を行った。 基礎的資料の閲覧・収集については、米国国立公文書館と議会図書館での調査、および、上海図書館と上海市档案館での調査を主軸とし、その他適宜国内の各種図書館所蔵の資料を取り寄せ、閲覧・複写した。以下、米国と上海における調査の概要を記す。 米国における調査では、日本での入手が困難な米国発行の映画関連雑誌や書籍、駐上海在外公館関連公文書の閲覧・収集を行った。特に、中国の初期の映画雑誌が参照していた米国映画雑誌記事を一部特定することができた点は、大きな収穫であった。また、上海におけるアメリカ籍映画興行会社の経営実態の一部も把握することが出来た。 上海における調査では、前年度に引き続き、上海図書館所蔵の中文映画雑誌、および上海档案館所蔵の共同租界関連档案のうち映画関連の文書を閲覧・複写した。特に上海図書館においては前年度と同様に閲覧可能な資料に制約があったが、民国期に発行された映画関連雑誌のマイクロ・フィルム化やデジタル化が漸次進められており、前回閲覧できなかった『南国月報』や『聯華画報』等を閲覧することができた。 これらの資料にもとづき、中国国産映画市場が成熟期にむかって発展を続けた1920年代〜1930年代半ばの上海、とりわけ、これまでほとんど研究されてこなかった共同租界工部局による映画検閲取締制度に着目し、国産映画の質の向上が叫ばれる一方で風紀を乱すとされる映画が量産された実態や、中国人を侮辱した内容の外国映画にたいする中国人が行った抵抗運動(『危険大歓迎』事件等)の事例を公文書等の一次資料にもとづき明らかにした。 このほか、当該時期に中国の映画館で上映されたと考えられる外国映画や、当該時期の中国国産映画を中心とした映像資料を購入した。
|