2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18720092
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
太田 亨 Ehime University, 教育学部, 准教授 (80370021)
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Keywords | 五山文学 / 中国文学 / 柳宗元 / 抄物 / 国文学 |
Research Abstract |
今年度は、前年度から引き続き『柳文抄』の追究を行うと同時に、中世禅林における柳文受容を調査した。 『柳文抄』については、その概要を大よそ把握することができた。尊経閣文庫に蔵される『柳文抄』との関係、仮名抄と漢文抄の二種類の抄から成り立っていること、両抄に引用される数種の抄、禅僧が利用した中国の注釈書等を明らかにした。 次いで、五山版『新刊五百家注音弁唐柳先生集』について精査した。『新刊五百家注音弁唐柳先生集』の所蔵機関で従来知られていないものも発見することができた。大凡の五山版『新刊五百家注音弁唐柳先生集』については、詳細な書き込みがなされ、五山に関係するものであった。精査していくと、幾本の詳細な書き込みは、『柳文抄』との関係を有するものであり、貴重な価値を有していた。 さらに初期(鎌倉時代末期から南北朝時代末期)の禅僧が残した詩文集・語録等に柳宗元に関することがどのように引用されているか精査した。結果、柳宗元に対する評価は、初期より既に高いことが判明した。 以上が、今年度行った研究の成果である。禅僧の詩文・五山版・抄物の三点から総合的に調査している。今後は、中期(南北朝時代末期から応仁の乱頃)以降の詩文において柳宗元がどのように評価されているか、五山版と『柳文抄』はどのように関係しているのか、『柳文抄』の抄者は誰なのか、等について考究していきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)