2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18720095
|
Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
井筒 勝信 Hokkaido University of Education, 教育学部, 准教授 (70322865)
|
Keywords | アイヌ語 / 認知言語学 / 文法 / 機能主義 / 形態論 / 音韻論 / 言語復興 / 言語教育 |
Research Abstract |
本研究は、認知言語学に基づいてアイヌ語基礎文法を網羅的に分析・記述し、その結果を汎用性の高い資料として提供することでアイヌ語の研究と学習・教育に寄与することを目的とする。(1)基礎文法が伝統的なアイヌ語学でどう扱われてきたかを総覧し、(2)それらの扱いが理論言語学でどう位置づけられるかを同定し、(3)認知言語学に基づいてどのような観察・分析・記述が得られるかを明らかにして、(4)その結果は、一般言語学に共通の用語・概念を用いた文法書・文典の形にまとめてアイヌ語研究の進展に資すると共に、基礎文法の概説書・参考書を編集してアイヌ語の学習と教育に貢献することを目指す。 本年度は、上記(2)を達成すると共に(3)に含まれる幾つかの課題に取り組むことを目標に掲げた。(2)の達成には、「アイヌ語基礎文法」を生成文法・機能主義・語用論・談話分析の道具立てを用いて具体的な記述を試みることが効果的であることから、それぞれの理論を専門とする研究者に本研究の一年目に作成した『アイヌ語学研究総覧』、及び過去の研究で作成したコーパス並びに辞書草案等を提供し、「基礎文法」に分類されるいずれかの言語事実をそれぞれの立場から扱った論考を提出してもらい、それらを『アイヌ語学と現代の言語理論』と題する冊子としてまとめた。 研究者らによる観察・記述と論考の作成を促すために、北海道教育大学、千葉大学、札幌大学、琉球大学、札幌学院大学、北海道大学などで研究会や研究打ち合わせ、討議のための会合を持ち、アイヌ語に取り組む様々な分野の言語研究者との対話と意見交換に努めた。 本年度はまた、(3)を達成し、三年目の研究計画を補完するためにも、「アイヌ語基礎文法」の幾つかの未着手項目を対象として認知言語学的な分析を実施した。得られた分析と記述は、ポーランドのクラクフで行われた国際認知言語学会を始めとする国内外の学会・研究会で発表した。
|
Research Products
(3 results)