2006 Fiscal Year Annual Research Report
ウズベキスタンにおけるイラン語-チュルク語言語接触による文法化
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18720097
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井土 愼二 東北大学, 大学院・国際文化研究科, COEフェロー (80419233)
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Keywords | 国際研究者交流 / ウズベキスタン / イラン語 / タジク語 / ウズベク語 / 言語接触 / 文法化 / チュルク語 |
Research Abstract |
八月にブハラにおいて三週間のフィールドワークを行い、音声データを収集した。ブハラタジク語の母語話者の協力を得て、録音とその転写も行った。世代、性別、学歴などが異なる多様な話者の音声データが収集できた。 タジク言語学の文献は多くあるものの、「西側」の言語で書かれたものは僅かである。タジク語方言学の文献に至っては、いわゆる西側の言語による文献は皆無に等しいため、タジク語に関わる研究者には必須であるにもかかわらず、入手困難である。そのような入手困難な言語学関連の文献を現地で蒐集した。 上記のデータと文献に基づいた2006年度の研究実績として、著書一冊と共著論文一点の刊行、其の他に、ノルウェー、トルコとオランダでおこなった計四回の学会発表があげられる。 諸般の事情により、当初の予定とは異なり、転写された音声データに対するグロス付けは全て自分で行った。これには優に四ヶ月を超える時間が費やされ、現在も進行中であるが、小規模なコーパスが完成しつつある。 現在、2007年度に出版を目指す出版物のために、ブハラタジク語の標準タジク語から逸脱が目立つ箇所の録音データからの抽出を行っている。これまでに見つかった文法化のデータとしては「座る」にあたる動詞の進行相をあらわす補助動詞化と接辞化や、複合前置詞の名詞化、代名詞的接語の複合語マーカー化、文の感嘆詞化、などがあげられる。他の特徴には複合動詞の非複合動詞化、周置詞(circumposition)の使用、文法範疇としての受動態の不在などがある。
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