2006 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ語のリズムと調音運動に関する対照音声学的研究
Project/Area Number |
18720106
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
林 良子 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (20347785)
|
Keywords | ドイツ語音声 / リズム / 韻律 / 調音運動 |
Research Abstract |
本年度は、ドイツ語のリズムについて、日本人ドイツ語学習者による読み上げ文音声データベースを整備し、これをドイツで公開されている音声データベース(Kiel corpus)との比較研究を行なった。音響分析の結果、日本語母語話者によるドイツ語の発音においては、話速、フィラー、言いよどみ方などの観点からドイツ語母語話者による発音との間に大きな違いが示された。言語リズムをおおよそあらわす指標とされるPVI (Pafrwise Variability lndices.,Grabe,2002)を用いた分析も行ない、日本語母語話者によるドイツ語発音は目本語の音節主導型リズムの影響を大きく受けていることが示した。 次に、日本人によるドイツ語読み上げ文に関して、ドイツ語母語話者による評価実験を行なった。これにより、流暢にドイツ語を話すためには、少なくとも1秒につき、3.5シラブル以上の速さが必要である可能性が示唆された。この点については、今後さらに検討することが必要であろう。 また、ドイツ語の調音運動について、母音の発音の音響分析の結果をもとに、舌の位置と形状について、既存のMRI動画撮影画像の資料を整理した。これにより、ドイツ語各母音の調音点が明らかになったため、今後研究材料や教材として活用していく予定である。さらに、録音した音声の母音のフォルマントをリアルタイムに測れる装置、文の韻律(ピッチ曲線)のフィードバックを行なう装置の開発を行なった。これらの装置は、日本人話者に難しいとされている前舌円唇母音やドイツ語特有のイントネーションパタンの習得訓練に有効と考えられる。
|
Research Products
(2 results)