2007 Fiscal Year Annual Research Report
方言変容の「フィルター」として働く地域社会の構造と志向性
Project/Area Number |
18720116
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
日高 水穂 Akita University, 教育文化学部, 准教授 (80292358)
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Keywords | 言語学 / 国語学 |
Research Abstract |
本研究では、地域社会の構造的特性(階層差や都市化の程度、それに伴う生活様式)や志向性(規範意識、人の気質)を「社会フィルター」と呼び、ある種の言語変化が、この「社会フィルター」を介して生じると考える。こうした想定のもと、「社会フィルター」を介した言語変化の事例を分析することにより、方言差が生じるプロセスを明らかにしていく。 平成19年度は、以上の観点からの研究成果発表を、「方言差を生じる言語変化の促進力と抑制カー方言差再生産のメカニズムー」と題し、第84回日本方言研究会研究発表会(関西大学・2007年5月25日)で行った。そこで取り上げたのは、国立国語研究所編『方言文法全国地図』の否定表現と命令表現の分布図に見られる地域差である。前者(否定表現)については、地域言語固有の言語体系が中央語からの異なる言語体系の伝播を拒む事例を分析し、後者(命令表現)については、地域社会固有の対人関係意識が他とは異なる待遇表現の体系を成立させるプロセスを考察した。特に、後者の事例が、本研究の「社会フィルター」を介した言語変化の事例と言える。なお、前者については、「文法化理論から見る『方言文法全国地図』一「とりたて否定形」の地理的分布をめぐって一」と題した論文をまとめ、『日本語学』26巻11号に掲載した。 また、中央社会と地方社会の比較という観点から、本土とは異なる文化的・歴史的背景を持つ沖縄社会の言語使用の動態を調査・分析するために、昨年度に引き続き、11月19〜21日に沖縄県那覇市においてフィールドワークを実施した。今年度は、昨年度の調査で収集した首里方言話者の模擬会話の文字化データを話者に点検してもらい、再度音声収録を行った。この会話例については、ウェブサイト「沖縄フィールド・リサーチ」において公開してある(当サイト内「模擬会話」http://www.ipc.akita-u.ac.jp/hidaka/web/okinawa/mogikaiwa/top.html)。
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Research Products
(3 results)