2007 Fiscal Year Annual Research Report
ミニマリスト・プログラムにおける疑問詞の移動現象の研究
Project/Area Number |
18720132
|
Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
高橋 美佳 Tohoku Pharmaceutical University, 薬学部, 講師 (00405911)
|
Keywords | 生成文法 / WH移動 / フェイズ理論 |
Research Abstract |
本年度は、言語学者Chomskyが提唱した生成文法理論の最新の理論的枠組みであるミニマリスト・プログラムに基づき、人間の言語計算の「最適性」(Optimality)の中身を明らかにするための試みの一つとして、例外的格標示構文(ECM構文)とそれに関与するWH移動に対して理論的な分析を行った。 具体的には、日本語の例外的格標示構文における埋込節の主語は(補文標識CのEPP素性の要請により)CP節のedgeへ移動するという理論的仮説を提示し、その妥当性を、文副詞、イディオム、スクランブリングが関与した構文など、さまざまな言語データを収集・考察することによって検証した。 また、当該の分析による理論システムにおいては、例外的格標示構文に疑問詞(WH句)が関与する場合、その疑問詞もCP節のedgeに移動するという経験的予測をすることになる。そこで、文副詞が関与したデータや適正束縛条件のような理論的道具立てなどを用いながら、この予測が正しいことを示し、議論を深めた。 これらの議論が正しいとすると、その理論的帰結として、日本語に対するWH移動分析やChomsky(2001)のフェイズ理論などに対して経験的なサポートが与えられることになり、言語計算の「最適性」の中身や本質を知る上での一つの手がかりとなる。 なお、本年度の終わりには、これらの研究成果をまとめ、図書『言語研究の現在-形式と意味のインターフェイス-』(開拓社、金子義明ほか編)に共著として出版した。
|