2007 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚障害者を対象とした日本語能力テストの開発のための基礎的研究
Project/Area Number |
18720134
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 香織 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 助教 (40400618)
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Keywords | 聴覚障害者 / 日本語 / 文法項目 / 文理解 |
Research Abstract |
平成19年度は、聴覚障害者を雇用している企業の実態調査、聴覚障害者が特に学習・指導が必要な文法項目の選定、聴覚障害者の複文理解と音声的情報との関連に関わる論文投稿と実験を行った。まず、聴覚障害者を雇用している企業2社でインタビュー調査を行った結果、聴覚障害者が企業等で働く際、健聴者と同様の日本語力が必要とされていること、聴覚障害者の中でも日本語力にほとんど問題のない人材が現実には雇用されていることが分かった。しかし、実際には健聴者と聴覚障害者の日本語運用能力には差が見られることが多い。そのため、平成19年度は、聴覚障害者に対する効率的な日本語指導に役立てることを目的として、大学で日本語を学ぶ外国人目本語学習者(日本語能力試験2級以上),健聴の大学生、そして聴覚障害を持っ大学生に、聴覚障害者が特に苦手と思われる文法項目をピックアップして作ったテストを実施し、聴覚障害者特有の問題を浮き彫りにすることを試みた。結果として、外国人学習者にも聴覚障害者にも共通して誤答が多く見られるものもあったが、聴覚障害者に特有の、特に配慮して学習させるべき項目がいくっか明らかになった。この結果については、来年度学会発表などで公表する予定である。また、聴覚障害者の複文理解と韻律情報との関連について、一昨年7月の国際認知科学会(カナダ)でポスター発表した内容を改訂し、論文としてまとめたものが学会誌『Joumal ofJapaneseLinguistics23』に掲載された。その後、更なる文理解の実験を行うために実験例文を作成し、健聴者50人に対して予備実験を行ったが、本実験を進めるまでには至っていない。 その他、聴覚障害学生の日本語の読解、作文の指導などを継続的に行っている。
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