2006 Fiscal Year Annual Research Report
動詞の意味の再構築を促す収斂型データ駆動学習の導入法に関する研究
Project/Area Number |
18720155
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Research Institution | Hijiyama University |
Principal Investigator |
能登原 祥之 比治山大学, 現代文化学部, 助教授 (70300613)
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Keywords | Data-driven learning / Corpus-driven approach / British National Corpus / Blog / CMC / 動詞 |
Research Abstract |
拙論(2004,2005,2007刊行予定)のEメールに見られる頻出動詞とその動詞を中心とした語群の研究を踏まえ、本研究では、初年度(2006年度)前期に、学習者が基本動詞に対して持っているイメージに関する調査を行った。絵で描写する手法を用いたため、調査手法に限界があったが、多義語であるにもかかわらず、学習者が特定の語に対して比較的固定したイメージしか持たず、それから拡張できていないことが垣間見られた。 2006年8月24日に、英国Birmingham大学のProfessor Susan Hunston先生にお会いすることができ、DDLを導入する際重要となるCorpus-drivenap Proachの言語観や研究手法を指導していただくことができた。特にSemantic prosodyの概念について先生の解釈をご教示いただいた。同日、Mr.David Oakey先生より、Birmingham大学におけるDDLの歴史的経緯、KibbitzersというTim Jones先生主導のDDLプロジェクト、そして、Oakey先生によるEAP教材におけるDDLの最新の扱い方を指導していただいた。本研修(1日)で、DDLにおけるデータ分析の視点や学習方法を改めて考え直す機会が得られた。 2006年度後期には、小学館コーパスネットワークのBNCをCMC IIの授業に導入し、言語データを閲覧させるタスクの開発とその位置づけについて経験知を蓄積していった。その結果、リーディング教材(英字新聞)から特定の語法に注目させ、その語法についていくつかの用法が分かるように精選した数行の例文(コンコーダンス)を利用して発問を投げかけながら言語パターンに気づかせていくという指導過程が自然であることが分かった。また、学んだ語法を英作文へとつなげていくとさらに効果的であることを経験的に確認することができた。ただし、一度に多くの語法が学べないことから、DDL自体は、CMCの授業の補足的な活動として位置づけて導入すべきことを確認した。 2007年度前期から、今まで学習者がEメールでよく使う動詞に目標を絞り、BNCから精選したコンコーダンスラインをプログの形式で学習者に提示し、量的に実例に触れ言語パターンを探索する環境を整備する。そして、量的にDDLがこなせる環境において、学習者の動詞の意味認識の変化を調査する予定となっている。
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