2008 Fiscal Year Annual Research Report
欽定憲法史観の定着と政党政治擁護論の展開に関する研究
Project/Area Number |
18720162
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川口 暁弘 Hokkaido University, 大学院・文学研究科, 准教授 (80327311)
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Keywords | 明治憲法 / 政党政治 / 欽定憲法史観 |
Research Abstract |
本研究は、欽定憲法史観の定着と流布に、政党政治家による政党政治擁護論が深く関係していたことを論証することを目的とする。 現時点での仮説を述べれば、政党政治家は政府がつくった欽定憲法史観を横領して、政党政治の必然性を正当化する論理にすり替えたのである。憲法は公議輿論をうたった五箇条の御誓文の趣旨を実現するために天皇が欽定したものであり、公議輿論を発展させるとは議会政治・政党政治を発展させることに他ならない、故に政党政治は天皇の意思にかなう政治体制でありその発展に尽くすことは臣民の義務である、というものである。すなわち、政党政治家は自己を正当化するために欽定憲法史観の定着に加担してきたわけである。かかる意想はいつ頃から政党政治家の常套する論法となったか、定着に到る思想の紆余曲折はいかにあったか。 本年度は、研究計画に従って、国体明徴派の欽定憲法観にかんする資料を収集し検討した。この検討により、これまで政党政治家が用いてきた政党政治擁護の論法が、そのまま、政党政治批判の根拠に転用されていることを確認できた。 この確認作業を通して国体論についても知見を深めたことは収穫であった。国立国会図書館蔵書で「国体」を題名に持つ資料を丹念に渉猟することで、国体論の変遷とその特質を明確に理解することが出来たからである。その成果を、2008年7月20目開催の第52回北海道教育大学史学会大会において、「国体と国民」と題して発表した。 本研究の成果は平成21年度科学研究費補助金・若手研究(B)「昭和戦前期の憲法観の研究」(課題番号 : 21720219)へと引き継がれる。
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[Presentation] 国体と国民2008
Author(s)
川口暁弘
Organizer
第52回北海道教育大学史学会大会
Place of Presentation
北海道教育大学旭川校北海道旭川市
Year and Date
2008-07-20