2007 Fiscal Year Annual Research Report
近世前期・東国における土地制度と村落の地域比較史的研究
Project/Area Number |
18720163
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
牧原 成征 Utsunomiya University, 教育学部, 准教授 (20375520)
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Keywords | 土地制度 / 社会構造 / 村落 |
Research Abstract |
本年度もまず、飯田市歴史研究所において、同所に所蔵されている虎岩郷(飯田市下久堅)の平沢文書(原文書)や他の文書の写真帳などを調査し、その一部を写真撮影・複写などによって収集した。また虎岩地域の現地踏査を行ない、景観や土地の形状・利用状況などを観察・記録した。それらの作業のうえに、16世紀末を中心とする同郷の土地制度の変容や社会構造を詳細に分析し、それらの総合的な理解を深めた。ただし、時期的に16世紀末の検討にとどまっており、17世紀に入ってからの分析は来年度も続けてゆく。また成果をさらに深めて、論文などとして公表できるよう努めたい。 第二に、虎岩郷をふくむ下伊那地域に関して、あるいはより広く信州・甲州地方の土地制度に関する先行研究や史料を博捜・検討し、問題点をあぶりだした。とくに諏訪社の祭祀頭役と郷村との関係についても検討した。これらの検討にもとづいて、来年度以降、信州伊那郡・筑摩郡・佐久郡等のいくつかの郷村や史料について具体的な調査を行なう予定である。 第三に、下野(栃木県)佐野地域を素材にして「北関東の長吏小頭と職揚・由緒」と題する口頭報告を行なった。これは百姓身分の村落や土地制度ではなく、えた身分の組織と職場の所有に関する検討であるが、根底的には村落や土地制度とも重要な関連を有しており、東国と畿内等との地域比較という点でも重要な示唆を得ることができた。
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