2006 Fiscal Year Annual Research Report
中世禅宗寺院の経済組織に関する研究-禅籍史料の活用を通して-
Project/Area Number |
18720165
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川本 慎自 東京大学, 史料編纂所, 助手 (30323661)
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Keywords | 日本中世史 / 禅宗史 / 史科学 |
Research Abstract |
本研究は、中世禅宗寺院の経済組織、具体的には「東班衆」とよばれる僧侶集団について、その組織構成や寺院経済活動への関与を明らかにするものである。その方法としては、文書史料のみならず禅宗寺院に関する典籍類(禅籍)をも分析し活用することによって、乏しい文書史料を補い、禅宗寺院の経済組織の実態に迫ろうとするものである。 本年度の研究活動としては、まず第一に、各種目録類から関係する禅籍を抽出する作業を行い、可能なものから順次史料調査を行った。今年度の調査はとくに関東地方および中国地方を中心とし、茨城県・兵庫県・広島県などの史料所蔵機関・禅宗寺院に出張して史料調査を行い、必要なものについてはマイクロカメラによる写真撮影を行った。 第二には、こうした史料調査を踏まえて、禅籍類にっいての分析・研究を行った。本年度は、禅籍を生み出す前提となる禅宗寺院における儒学学習活動に着目し、禅宗寺院の経済活動とのっながりも見通して考察した。具体的には、中世後期の常陸における儒学学習活動が建長寺・足利学校等とのつながりをもっており、その背後には佐竹氏を中心とする学問文化圏があることを明らかにし、「常陸儒檀」とも呼ぶべき禅僧・画僧らのネットワークがあることを考察した。 なお、こうした点について、本年度は学会報告1本および論文発表1本を行い、成果を公表した。
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Research Products
(1 results)