2007 Fiscal Year Annual Research Report
中世禅宗寺院の経済組織に関する研究-禅籍史料の活用を通して-
Project/Area Number |
18720165
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川本 慎自 The University of Tokyo, 史料編纂所, 助教 (30323661)
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Keywords | 日本中世史 / 禅宗史 / 史料学 |
Research Abstract |
本研究は、中世禅宗寺院の経済組織、具体的には「東班衆」とよばれる僧侶集団について、その組織構成や寺院経済活動への関与を明らかにし、中世社会に大きな影響を与えた禅宗寺院の社会的役割について考察するものである。その方法としては、従来用いられてきた文書史料のみならず禅宗寺院に関する典籍類(禅籍)をも分析し活用することによって文書史料を補い、禅宗寺院経済の全体像に迫ろうとするものである。 本年度の研究活動としては、まず第一に、京都および近郊の禅宗寺院の所蔵史料を調査し、必要なものについてはマイクロカメラによる撮影を行った。また、本年度は九州地域の禅宗寺院にも目をむけ、史料所蔵状況などの予備的な調査を行った。 第二には、こうした史料調査を踏まえて、禅籍類についての分析・研究を行った。本年度は、禅宗寺院の経済組織を構成する「東班僧」の継続性の有無に着目し、その嗣法関係の実態について考察するとともに、東班僧の財産の継承について明らかにした。こうした考察は、直接的には寺内における財の蓄積を解明する手段となるものであるが、それのみにとどまらず、経済活動を行うにあたって必要となる実務的な知識がどのように継承されてゆくかという問題についても鍵となるものと考えられる。
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