2006 Fiscal Year Annual Research Report
首都京都から見た中世後期社会の展開-発展段階論の批判と中世後期社会像の再構築-
Project/Area Number |
18720167
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
早島 大祐 京都大学, 文学研究科, 助手 (10378490)
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Keywords | 公武統一政権 / 公事 / 割符 / 交通 / 応仁の乱 / 戦後復興 / 武家被官 / 商人 |
Research Abstract |
本年度は、11欄掲載単著に新稿を4編掲載し、研究実績として公にした。 (1)「公武統一政権論」(第一部第一章)公武関係を検討する素材として、研究計画に記載した南北朝〜室町期を通じて遂行状況が把握しやすい公事(後七日御修法、祈年祭、春日祭、賀茂祭、月次祭・神今食、伊勢例幣、鎮魂祭、新嘗祭、追儺、釈奠)については、概況を分析・報告した。 (2)「割符と隔地間交通」(第一部第四章)では、割符を素材に、首都と港湾都市(兵庫・堺)、そして備中国との物・人の交流・交通について指摘し、あわせて地域内の交通の実態についても指摘した。 (3)「応仁の乱後の復興過程」(第三部第一章)では、応仁の乱後の復興が火災・強盗などの第二の罹災により遅延し、復興後の京都が、乱前と比較して規模を縮小していたことを指摘した。 (4)「京都西郊地域における荘園制社会の解体」(第三部第三章)では、一五世紀中葉に、在地社会の武家被官状況が、量的に展開したことが、応仁の乱後に展開する荘園制的所領秩序解体の萌芽であったことを明らかにした。 その他、商人データベースを作成しており、それに基づく商人論を一九年度に公表予定である。
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