2007 Fiscal Year Annual Research Report
一九四〇年代初頭における刑事・治安法制再編に関する研究
Project/Area Number |
18720169
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
小幡 尚 Kochi University, 人文学部, 准教授 (30335913)
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Keywords | 刑法中改正法律 / 治安維持法改正法律 / 国防保安法 / 大竹武七郎 / 牧野英一 / 戦時刑事特別法 |
Research Abstract |
19年度は、18年度に引き続き、第76通常議会(1940年12月〜41年3月)で通過した三法律、すなわち刑法中改正法律・治安維持法改正法律・国防保安法に関する史資料の収集とその整理・解析を進めた。とくにこれまでほとんど研究の対象とされてこなかった刑法中改正法律に着目しながら分析・検討を行なった。その結果、同法律が有する意義を一定程度明らかにすることができた。一つは、同法律が1920年代初めから40年に至るまで進展していた刑法改正事業の成果より、「時局」に必要なものを抽出したものであることである。よって、同法律の意義を明らかにするためには、刑法改正事業における議論も含めて検討しなければならないのである。もう一点は、同議会で成立した他の二法律を補完し、広範な治安法制の一翼を担うことが同法律に期待されていたことである。これらの点について、1920年代から分析を始め、1930年代の状況をとくに詳細に検討した論文、「一九四一年刑法中改正法律について(仮)」を執筆し、ほぼ完成させることができた。 上記の作業を進める中で、1940年代前半期の刑事・治安法制に与えた戦前期の刑法及び監獄法改正事業の影響力の大きさを再確認した。よって、同事業に関する新史料である山岡萬之助関係文書(法務図書館所蔵)の調査を行ない、多くの関係史料を収集した。 また、刑法中改正法律の施行の後、太平洋戦争期に出された戦時犯罪処罰ノ特例二関スル法律(1941年12月施行)・戦時刑事特別法(1942年3月施行、1943年3・10月改正)に関する史資料の収集も継続して行なった。
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