2006 Fiscal Year Annual Research Report
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18720183
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Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
市 大樹 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (00343004)
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Keywords | 木簡 / 飛鳥 / 藤原 / 飛鳥池遺跡 / 工房 / 飛鳥寺 / 衛門府 / 大宝令 |
Research Abstract |
本年度は、木簡の資料的検討に主眼を置いて、研究を推進した。 第一の実績は、近年出土した石神遺跡出土木簡、藤原京跡出土木簡などの最新釈文を掲載した『飛鳥・藤原宮発掘調査出土木簡概報二十』(奈良文化財研究所、2006年11月)を刊行したことである。なかでも、2001年に出土した藤原京木簡は約13000点という膨大な数の点数の木簡が出土したが、全点の調査を終えることができた。この成果を踏まえ、2006年12月の木簡学会で「大宝令施行直後の衛門府木簡群」と題する口頭報告をおこない、大宝令が施行された直後における衛門府を中心とした官司運営の実態について論じた。この口頭報告については、「藤原宮・平城宮出土の門〓木簡」、「門〓制の運用と木簡」、「大宝令施行直後の衛門府木簡群」と題する3本の論文に再分割し、前の2本については投稿済み、最後の1本は執筆中である。1本目の論文作成にあたっては、平城宮跡出土木簡の再釈読もおこなった。 第二の実績は、飛鳥池遺跡、飛鳥池東方遺跡、山田寺跡で出土した木簡1465点の木簡の最新釈文・解説、鮮明な高精細図版を載せた『飛鳥藤原京木簡一』(奈良文化財研究所、2007年3月)を作製したことである。飛鳥池遺跡は約8000点の木簡が出土しており、その整理に長年の時間がかかったが、ようやくその全貌を提示することができた。本書では、「飛鳥池遺跡南地区出土木簡と工房」、「飛鳥池遺跡北地区出土木簡と飛鳥寺・禅院」と題する論攷を掲載し、議論のあった飛鳥池遺跡の性格に対して、ひとつの見方を提示した。
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