2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18720183
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Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
市 大樹 National Research Institute Cultural Properties, Nara, 都城発掘調査部, 研究員 (00343004)
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Keywords | 飛鳥 / 藤原 / 官司運営 / 衛門府 / 門制 / 四面墨書木簡 / 召喚木簡 / 荷札木簡 |
Research Abstract |
近年の飛鳥・藤原地域における木簡の大量出土によって,木簡を単発ではなく,遺跡ごとに群として捉えることが可能となってきた。当時都の置かれていた飛鳥・藤原地域には多くの官司が存在したが,木簡という文字史料の出現によって,官司の比定やその活動実態を解明するための手がかりが得られつつあり,そのための基礎的な整理作業や検討をおこなってきた。具体的には以下のとおり。 石神遺跡,藤原宮跡,藤原京跡右京七条一坊,本薬師寺などから出土した木簡の釈読をおこない,その釈文や内容について,奈良文化財研究所の刊行物を中心に公表した。 藤原京跡左京七条一坊出土木簡を使って,当地に宮外官衙として衛門府が存在したことを明らかにした論文を公表した。また,そのなかには門〓制に関わる木簡が多く含まれていることから,その運用実態を解明する論文を発表した。 藤原宮・京から過去に出土した荷札木簡の再検討をおこない,その成果の一端を小論文にまとめた。また,評制下の荷札木簡を使って,地方行政組織のあり方を考える口頭発表をおこなった。 韓国の月城垓字から出土した四面墨書木簡について,飛鳥・藤原地域から出土した木簡との比較という視点にたった論文をまとめ,朝鮮半島が日本に与えた影響を考えた。 平城宮・京跡から出土した召喚木簡を網羅的に取り上げ,各官司で人を召喚する際にどのように木簡が使われ,最終的に廃棄にいたったのかを考察した論文をまとめた。 飛鳥・藤原地域から出土した木簡を使って,官司比定がどこまで可能であるのか,また木簡を使った政務のあり方はいかなるものであったのかを考えた論文を準備している。
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