2007 Fiscal Year Annual Research Report
一九世紀中国の社会変動に対する清朝の政策と旗人官僚-ある旗人高官の家族を例に-
Project/Area Number |
18720188
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
古市 大輔 Kanazawa University, 文学部, 准教授 (40293328)
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Keywords | 東洋史 / 清朝 / 旗人官僚 / 社会変動 / 19世紀 |
Research Abstract |
本研究の二年目となる今年度は、前年度に課題として残っていた麟慶・崇実・崇厚らを輩出した完顔部の先祖の事跡・動向についての確認と清初以降から19世紀に至る彼ら家族の大凡の歴史的復元を行い、その成果の一部を「崇實・崇厚の諸子とその配偶者に関するノート」として公表した。 次に、中国東北地域以外の中国各地(麟慶・崇実・崇厚らの活動した地域を中心に)、特に崇実が地方官僚として活動した四川省及び中国東北地域での秩序維持策に関する基本史料書籍群(過年度までに購入したものを含めて)のなかから、当該時期の四川省・中国東北地域における清朝行政のありかたを記した史料や、麟慶・崇実・崇厚らが関わった上奏文や上諭などを一部分抽出した。ただ、現在のところ、それら個々の記載内容を詳細に検討する段階までには至っていない。また、過年度には入手できなかった基本史料書籍(地方志など)を一部購入し、それらの書籍から関連史料の抽出と記載内容の確認を少しずつ進めているところである。 さらに、前年度から進めてきた未刊行史料の調査を継続した。今年度は、中国(北京)に所蔵されている崇実乃至はその一族の手による(もしくは彼らに関わる)未刊行史料の他、台湾(台北)に所蔵されている麟慶・崇実・崇厚らによる上奏文を調査し、それらの諸史料を筆写・複写によって入手した。当該入手史料の詳細な内容把握については既に少しずつ進めているものの、その多くは次年度の課題として残っている。 現在のところ、こうした史料調査・整理と並行して、四川省及び中国東北地域を始めとする中国辺境地域における清朝政府の諸政策についての検討を開始した段階にある。辺境地域における旗人官僚の動向、中国辺境で施行された地方行政改革とそのあり方、その変容過程に対応する際の八旗満洲籍に属する旗人官僚の存在や役割などに関して総合的に検討することを次年度の主たる課題の一つとしておきたい。
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Research Products
(1 results)