2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18720190
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古松 崇志 Kyoto University, 人文科学研究所, 助教 (90314278)
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Keywords | 契丹 / 遼 / 仏教史 / 石刻史料 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、戦前の日本や満洲国における出版物、中国における考古学関連雑誌に掲載された論文、最近とみに数を増した中国の石刻・文物関連出版物などを調査して、契丹時代の歴史にかかわる石刻史料、考古資料関連データ収集の基礎作業を継続しておこなった。 かつての契丹南京(燕京)の地である現在の北京地区には、契丹時代の石刻史料を中心に、仏教史に関連する記録が比較的豊富に残されており、これらとのちの金元時代の石刻や典籍史料にみえる記録とをあわせた分析を通じ、一〇世紀から一一世紀にかけての契丹燕京地区における仏教勢力の隆盛とそれを支える契丹国家の統治政策や社会背景を考察し、仏教史料を利用した新たな契丹史研究の方法の模索を試みた。これについては12月に洛北史学会定例大会(京都府立大学)において学会報告をおこない、論考を準備中である。 また、研究代表者のこれまでの研究成果をまとめた学位請求論文『一〇〜一四世紀ユーラシア東方の国家と社会』を京都大学に提出し、学位(文学博士)を取得した。本論文では、これまで中国史を中心に進められてきた一〇世紀から一四世紀にかけての契丹(遼)・女真(金)・モンゴル(元)および五代・宋(北宋・南宋)などの国家にかかわる歴史を、中央ユーラシア史の文脈と中国史の文脈をあわせ、朝鮮半島や日本列島の歴史展開も視野に入れた、「ユーラシア東方」という枠組から考えるべきだとする初歩的な構想を提出した。
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