2006 Fiscal Year Annual Research Report
碑刻史料等の分析による金元代華北における地方文書行政と地域社会の相互関係の研究
Project/Area Number |
18720192
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
舩田 善之 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 講師 (50404041)
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Keywords | 東洋史 / 金元史 / 中国 / 華北 / 石刻史料 / 碑刻 / 文書行政 / 地域社会 |
Research Abstract |
本研究課題の初年度である本年度は、中国山西省南西部、運城市域西半における碑刻史料の現地調査に重点を置いた。まず、本研究課題補助金によって購入した『中国地方志集成:山西府県志輯』、及びその他関連史料・刊行物に基づき、当該地域の碑刻史料の状況を把握・整理した。その上で、2006年8月24日から9月7日まで、碑刻史料の現地調査を行った。調査対象地域は、運城・臨猗・〓城・永済・河津・稷山・新絳・万栄(以上山西省)・韓城・〓陽・西安(以上陝西省)の各市県に及んだ。調査においては、運城市文物局・運城市博物館・河東塩業博物館等の現地機関の協力を得ることができ、現地研究者と碑刻史料に関する情報交換も行った。この現地調査の結果、当該地域の金元碑刻史料の現状を確認し、また多くの重要な史料情報を将来することができた。以上については、現在、調査報告と現存金元碑刻目録を編集中である。個々の重要史料については、分析を進行しており、最終年度にその成果をまとめる予定である。 すでに刊行済みないし収集済みの中国華北地域の碑刻史料の分析を通じた研究成果としては、まず、論文「「西安清真寺洪武25年聖旨碑」からみた元明期中国ムスリムの変容とネットワーク」において、陝西省西安の明初の碑刻を分析し、イスラームを対象とする政策や文書行政が元明交替を経ても継承されていることや、当該碑刻が西安に立てられた意味を論じた。共著論文「元代白話碑文的体例初探」では、元代の蒙文直訳体による公文書の碑刻史料について、新出史料も含めて総合的な検討を加えた。また、山東長清の新出碑刻史料を分析し、元代多言語文書行政の重要課題である蒙文直訳体について検討した。2006年度内陸アジア史学会大会で口頭発表を行った上で、論文「蒙文直訳体の展開」としてまとめた。ほか、「山東日照・諸城の元代石刻の現状」では、現地調査の展望と課題を論じた。
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Research Products
(6 results)