2006 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル帝国期の国際貿易と多言語環境下の文書行政の関連性に関する基礎的研究
Project/Area Number |
18720193
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
四日市 康博 九州大学, 人文科学研究院, 講師 (40404082)
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Keywords | 元朝 / モンゴル帝国 / 南海交易 / 銀 / 馬貿易 |
Research Abstract |
まず、2006年4月にはアメリカ合衆国サンフランシスコで開催されたAnuual Meeting of Association for Asian Studiesにパネルを組んで参加し、"The Structure of Power and NANHAI Trade from the Perspective of Local Elites in Yuan Period Zhejiang."というタイトルで発表をおこなうと共に現地の研究者たちと研究上の意見交換・情報交換をおこなった。これは、元朝江南社会における漢人・色目人・モンゴル人の提携共存関係がそのまま南海交易の管理と経営の構造にも表れていることを明らかにした研究であり、まだ論文としては発表していないが、既にドイツから学術誌への掲載のオファーが来ている。その結果、Chaffeem, John."Diasporic Identities in the Historical Development of the Maritime Muslim Comminities of Song-Yuan China."Journal of Economic and Social History of the Orient 49/4にも本発表が取りあげられ、その成果に基づき議論が展開されている。5月には、それまでの漢語史料の読解・考察の成果として、特に元朝期江南の南海貿易における物資と資金の流れとそれに対する文書行政の在り方に関して論考した「元朝南海交易経営考--文書と銭貨の流れから」を『九州大学東洋史論集』34号に掲載した。また、モンゴル時代のユーラシア規模の銀の流通とイスラーム・インド間の馬貿易の関係について考察を進め、ペルシャ湾・紅海から輸出される馬に対して中国銀が支払われていること、それに関わる元朝側の貿易政策について研究を進めた。その成果の一部は、9月にウィーンのオーストリア科学アカデミーで開催された国際シンポジウムTHE INTERNATIONAL HORSE ECONOMY OF IRAN, INDIA AND CHINAにおいて"Horses in East-west Trade between China and Iran under Mongol Rule"として発表した。さらに2007年3月にはモンゴル帝国・元朝の権益分配システムの構造に関する研究を"The Role of jaryuci in the Stucture of the distribution System under the Mongol Empire"として英語で刊行した。
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Research Products
(2 results)