朝鮮近世の交通に関する歴史地理学的研究

2007 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 18720196
• Research Institution: Tenri University
• Principal Investigator: 長森 美信 Tenri University, 国際文化学部, 講師 (50412135)
• Keywords: 東洋史 / 朝鮮史 / 歴史地理 / 交通 / 流通 / 漂流

Research Abstract

1.朝鮮近世の歴史地理関連既刊資料の分析と資料調査
植民地時代の日本(朝鮮総督府)による調査報告を含め、国内外で刊行された朝鮮歴史地理関連の資料の収集を進めた。特にソウル大学校奎章閣発行の近世朝鮮で作成された地方地図『朝鮮後期地方地図』と朝鮮総督府陸地測量部作製の5万分の1地形図および韓国国立地理院発行の5万分の1地形図を地域別に対比分析する作業を開始した。また、国内各地の資料所蔵機関の発行目録等をもとに関連資料所蔵状況を調査し、朝鮮近世地理資料データベースの作成を開始した。
2.朝鮮地名データベースの作成
朝鮮近世地理資料の中でも史料的価値の高い申景濬『道路攷』および『増補文献備考』輿地考にあらわれる地名を収集し、その現地比定を行いつつ、前年度より継続している「前近代朝鮮地名データベース」の作成作業を行った。
3.歴史地図の作成
2の作業がある程度進行した地域について、歴史地図作製の準備作業として100万分の1縮尺地図を一部作製した。
4.近世朝鮮における交通史、流通史に関する研究
上記1〜3と並行して、税穀・賑恤穀等、王朝政府主導による穀物の全国的流通体系について研究を進めた。全98冊のうち第55冊までの翻刻本刊行が韓国国史編纂委員会で進んでいる『典客司日記』(ソウル大学校奎章閣所蔵:奎13052)に見える朝鮮漂着船の記録を収集し、当時の海上交通路とその交通路を利用した人々の位相と彼らの海上活動の分析を進めた。