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2006 Fiscal Year Annual Research Report

シャイロックの居場所-近世ヴェネツィアのゲットーとユダヤ人-

Research Project

Project/Area Number 18720205
Research InstitutionKagoshima University

Principal Investigator

藤内 哲也  鹿児島大学, 法文学部, 助教授 (60363602)

Keywords西洋史 / イタリア史 / ヴェネツィア / ユダヤ人 / ゲットー
Research Abstract

本年度は、充当された研究費を利用して、研究の遂行に必要な環境の整備と史資料の収集を行うとともに、入手済みの先行研究や史資料の読解と分析を進めた。9月にはヴェネツィア市内に残るゲットーやリド島のユダヤ人墓地、および国立ヴェネツィア古文書館などを訪れ、現地調査と史資料の収集を行い、古文書館では16世紀におけるゲットーの設置と拡大に関する手稿史料を閲覧、筆写することができた。
一方、研究実施計画において設定した課題(1)ゲットーの設置と拡大の目的とその政治的・経済的・社会的背景(2)ヴェネツィアの権力構造におけるユダヤ人政策の位置づけと寡頭支配層との関係性のうち、とりわけ(1)の課題について重点的に検討した結果、アシュケナジム系のユダヤ人金融業者を対象とする1516年のゲットー設立時と、イベリア半島出身者を中核とするレヴァント系ユダヤ人商人を対象とする1543年・1633年の拡大時では、その目的や背景が大きく異なるとともに、アシュケナジム系に対する抑圧とセファルディム系に対する優遇というイタリア各国のユダヤ人政策におけるダブル・スタンダードがヴェネツィアにも共通して見出すことができる一方、ユダヤ人政策におけるその二重性がゲットーという一つの場に集約されている点にヴェネツィアの特徴があるという見通しを得た。
また、ヴェネツィアのゲットーとユダヤ人の表象やイメージについて明らかにするために、英語文献において初めて「ゲットー」という用語を紹介した17世紀初頭のイングランド人旅行者T・コーリャットの旅行記を分析し、コーリャットがレヴァント系ユダヤ人の富裕さや信仰に対するユダヤ人の真摯な態度を肯定的に捉えながらも、ユダヤ教信仰にはまったく理解を示していないこと、またそのユダヤ人像は高利貸しとしての伝統的なイメージに強く規定されていることなどを看取することができた。

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Published: 2008-05-08   Modified: 2016-04-21  

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