2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヨーロッパにおけるユダヤ人財産の「アーリア化」・略奪・返還(1933-現在)
Project/Area Number |
18720206
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Research Institution | Gakushuin Women's College |
Principal Investigator |
武井 彩佳 Gakushuin Women's College, 国際文化交流学部・国際コミュニケーション学科, 専任講師 (40409579)
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Keywords | 西洋史 / ドイツ現代史 / ユダヤ人 / ホロコースト / 戦後補償 |
Research Abstract |
本研究は、ナチ支配下のヨーロッパにおけるユダヤ人財産の「アーリア化」・略奪・戦後の返還・補償を、1933年から現在という長いスパンで捉え、その全体像を明らかにすることを目的とする。研究対象は時期的に三段階に分けられ、(1)1933-1945年(「アーリア化」と略奪)、(2)1945-1957年(返還)、(3)1990年代以降(アメリカでの訴訟を契機とする補償)であるが、19年度はまず(1)の時代に関する2次文献を読み、また研究の初年度にドイツの文書館で収集してきた第一次史料を精読した。この結果、ドイツ国内におけるアーリア化の実態、特に個人の生活におけるその影響が浮かび上がった。 計画段階では、夏にフランスのパリで「現代ユダヤ資料センター」や国立文書館で史料収集を行い、また補償関係者にインタヴューを実施する予定であったが、研究の範囲が拡散する可能性が出てきたこと、また時間的な制約もあったため、フランスにおける一次史料の収集を断念し、主に二次資料で間に合わせることにした。現に、近年フランスではユダヤ人財産の略奪と返還に関する分野で大きな研究の進展があり、続々と新しい文献が出版されており、自ら一次史料を集める必要性が薄れ、二次資料で十分に成果が上がると判断した。このため、当初予定していた海外出張を取りやめ、その分を二次資料(図書)の購入費にまわし、またデータ処理のためのPCを購入した。 19年度後半においては、研究成果を文章化することにつとめ、20年度中に予定されている研究成果の出版の準備を続けた。同時に、早稲田大学史学会で本研究について報告し、参加者より貴重な意見・指摘を受けることができた。研究計画は、海外出張を取りやめたことを除けば、おおむね予定通り進んでおり、20年度に本の出版、学会での成果発表など、総括の段階へ進むことが出来るだろう。
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Research Products
(1 results)