2006 Fiscal Year Annual Research Report
古代東アジアにおける火葬習俗の伝播に関する基礎的研究
Project/Area Number |
18720222
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Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
小田 裕樹 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (70416410)
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Keywords | 東アジア / 火葬 / 葬送習俗 / 伝播 |
Research Abstract |
研究初年度は、基礎資料の整理として、報告書の収集によるデータ集成に努めた。従来から進めていた国内資料の集成作業に加え、特に韓半島における調査報告書の検索により火葬墓資料の集成を中心に行った。 その結果、韓国においても、従来知られていた火葬墓資料に加え、近年の発掘調査による火葬墓の調査事例が増加し、古代墳墓研究の蓄積も始まりつつあることが分かった。特に、百済・新羅(統一新羅)の中心である扶余・慶州以外の地域においても、墳墓資料が増加しつつあり、韓国においても墓制からみた中央-周辺関係の分析が可能な資料が集まりつつあると感じた。 本年度の作業を通して、いくつかの見通しが得られた。まず、火葬墓の構造を比較した場合、韓半島と日本の火葬墓との間には「両地域に共通する構造」と「各地域の独自性が発揮される構造」という2つのタイプが存在することが看取された。また、墓の立地について整理する中で、特に中心地域の墓については都城との関わりが重要であり、それは墓構造の選択にも関係しているという考えを持つにいたった。 これらの視点は今後、中国を含めた東アジア全体における比較分析を行う上で重要な視点であると考えられる。 また、従来の研究成果および本研究の今後の見通しについて、2006年11月1日に大韓民国慶州文化財研究所において「日本古代墳墓研究の現状と課題」と題する口頭発表を行った。加えて、国内で行われた研究会への参加や博物館の訪問を通じて、資料調査や研究者との意見交換を行った。 次年度は、今年度の成果をふまえ、日本国内・韓半島出土資料の実見調査および出土遺跡の実地踏査を行い、中国を中心とした資料の収集を進めることで本研究を深めていきたい。
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