2006 Fiscal Year Annual Research Report
組織的小売業者の形成する流通システムの地理学的研究
Project/Area Number |
18720225
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
兼子 純 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 研究員 (40375449)
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Keywords | 流通システム / 専門店チェーン / 物通システム / 組織的小売業者 |
Research Abstract |
本研究は,日常消費社会において低価格志向の消費者に商品を供給することにより急成長を遂げてきた,組織的小売業者が形成する流通システムの空間物性を明らかにすることを目的とする。本年度は事例調査を行う企業を選定するための基礎調査として,東京証券取引所一部上場企業の中で,とくに価格訴求型の業態,具体的には,ホームセンターや衣料品チェーン,ドラッグストア,家電量販店,100円ショップなど郊外の幹線道路沿いにいわゆるロードサイド型の商業集積を形成してきた企業について,創業から現在に至るまでの店舗拡大過程に関するデータを作成した。その結果,売上高上位企業では全国に店舗網を拡大する段階において,自社物流システムの下での拡大方針の他に,ローカルチェーンの提携・買収を進める場合と,店舗網が重複しないリージョナルチェーン同士が資本提携することにより,スケールメリットを獲得する方策が採用されることを明らかにすることができた。また,これら調達システムそのものの効率化を生命線とする小売業態の成長は,直接顧客を収奪する他の小売業態だけでなく,商品流通の川上に位置する卸売業者や製造業者など産業全般にも多大な影響を与えることを推察できた。 今日の日本の成熟消費社会において,消費の二極化が進展していることが指摘されているが,それが組織的小売業者の形成する流通システムの空間特性にどのような影響を与えているのかについて考察するために,日本地理学会において流通・消費の研究グループを立ち上げ,同様の関心を有する研究者と意見交換を行った。
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