Research Abstract |
平成19年度は,平成18年度に引き続き,戦国期・織豊期城下町空間についての基本情報の収集を,主として中国・東海・関東地方において進めた。基本資料とは,各城下町の景観や旧地形に関する先行研究(論文・図書・自治体史),先行研究の根拠とされる各種資料(中世史料・近世古地図・近世地誌類・発掘調査報告書・最新の発掘調査成果など),各城下町の大縮尺の現行の地図(地形図,都市計画図,地形分類図,空中写真)である。これらの資料の多くは現地の図書館や博物館等の文化財保存施設に比較的まとまった状態で所蔵されていた。現地の所蔵機関には,資料の所在に詳しい専門員が配置されていることも多かったので,可能な限り現地に出向いて,網羅的に資料収集を行った。このとき併せて,最新の発掘調査成果の情報や現行の地図類を収集した。 上記の調査を通じて,当初予想した以上に,微地形の判読できるスケールで城下町の空間構造を復原している事例が少ないことが判明した。特に中国・東海・関東地方においでは,より詳細に個別実証研究を積み重ねていく必要があると考える。そこで今年度は,以下の三点の研究を主に行った。第一に,周防山口に関して空間構造の精緻化を行い,形態分析の方法を深化究を主に行った,第一に,周防山口に関して空間構造の精緻化を行い,形態分析の方法を深化させると共に,新しい空間論文の復原案を提示し,論文として発表した。第二に,駿河清永における戦国期江尻城とその周囲に展開した港町の空間構浩の復原を行い,「中近世移行期における都市景観と自然地形」と題して,第14回中世都市研究会(東京大学)にて口頭発表を行った。第三に,これまでの研究結果をひとまず総括し,中間報告として,"The Landscape of Local political cities in Medieval Japan'と題し,第14回国際中世史学会(リーズ大学:イギリス・リーズ)にて英語で口頭発表を行い,国際的な議論を喚起した。
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